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ビールとにわか雨と言語境界線の国で、 美術と歴史の迷宮を彷徨中の 留学生活の覚書
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12月も第1週を過ぎ、大学図書館前のLadeuzepleinにクリスマス・マーケットが建つ
時期になりました。

昨日の夜辺りから準備が始まり、今朝も慌しく、大量の樅のIMG_5365-2.jpg
木や建材が運び込まれていました。
広場の中心で365日、針に貫かれた姿を晒しているハエ君の
存在感も、これからしばらくの間は希薄になってしまいます。

同じ日に、写真の背後に位置する図書館の飾りつけもスタート
したのですが、こちらは日を改めてご紹介します。

さて、夜になって、いよいよ祭りの幕が開きました。

IMG_5684-2.jpg  
  中央の大仮設テントを取り囲むようなかたちで、ク
  リスマス用品のお店やスタンドが並び、どことなく
  縁日の夜店のような雰囲気です。

  中央テントのバールでは、ワイン樽のテーブルの周
  りに集った赤ら顔で太鼓腹のおじさんたちが、湯気の
  たつグリューワイン片手に、賑やかに談笑しています。

  IMG_5682-2.jpg
図書館前にはメリーゴーランドが設けられ、子供たちが列を作っ
ていました。
おもちゃやお菓子の店は家族連れでごった返し、この機とばか
りのおねだり攻撃でパパママを足止めするちびっ子たちの姿が
至るところで見られます。

IMG_5390-2.jpg  メインはやっぱりクリスマス用品の
  屋台。  
  ツリーやリース、オーナメントから、
  扮装用のお面や衣装などまで、あ
  りとあらゆる専門店が軒を連ねます。
 IMG_5689-2.jpg
  
  他にも、グリューワインをはじめ、ハム、
  ソーセージやネーヒェルクッセ(neger-
  kusse:チョコレートでコーティングした
      釣鐘型マシュマロ菓子)など、クリスマ
                 スならではの食品が、あちこちで売られ
                 ていました。
 
→コンフィチュール屋台のおじさん。チロルハットがよくお似合いです。

IMG_5702-2.jpg  
  ←ミニチュアハウスのお店。中高年になぜか大人気。


  →ネーヒェルクッセ。
    こんなデカくて甘ったるそう
    なもんを、ダース売りするの
    はやめIMG_5695-2.jpgてくれ。


祝事が相次ぐこれからの数ヶ月は、お祭り好きなフランドル人
にとって、一年で最も血が騒ぐ時期かもしれません。
ルーヴァンのクリスマス・マーケットは12月17日まで。
今年は開催20周年に当たるのを記念して、例年の3~4日を
大幅に延長して、10日間の開催となっています。
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 IMG_4384-2.jpg
  ルーヴァンの空は、いろいろな表情を見せます。
  
  基本は曇り空なのですが、変わりやすい天候に
  つれて、雲も光も驚くほどダイナミックな動きを見
  せ、ふとした一瞬が絵になるのです。
  IMG_5829-2.jpg
  
  左上は陽の出
                      右は夕暮れ
                      左下は朝焼け
IMG_5293-2.jpg
  
  紫やピンクの諧調を見せ
  る朝焼けなんて、日本の、
  少なくとも私の住んでいた
  地域では、めったにお目IMG_5852-2.jpg
  にかかれませんでした。
  
  
                      →獅子座流星群
                        ではなくて
                        ただの飛行機雲ですが、
                        ルーヴァンの空は飛行
                        機雲がよく映えます。

開口一番、お詫びと訂正をさせていただかねばなりません。
前回、今年はシント・ニクラースの到着が早かったなどと大嘘を書いてしまいましたが、彼は例年並の11月17日にアントウェルペンに入港していました。シント・ニクラースは、11月の第3週辺りに早々とお着きになり、その後3週間かけて全土を回るのです。
ついでに、スペインからの交通手段は蒸気船なので、風向きはあんまり関係ありませんでした(笑)。

シント・ニクラース祭に関しては、ご興味のある方は、小橋康章さんによる明瞭な解説をご覧下さい↓。
homepage3.nifty.com/hiway/holland/jword/sinterk.l.htm
オランダのSinterklaasfeestについて書かれたページですが、ベルギーでの事情も大差ありません。
ただし、ベルギーでは12月5日ではなく6日にやります。

IMG_5234-2.jpg
今日は、大家さんご夫妻の子供たちが集まって、家族でシント・ニクラ
ースのお祝いをする日。oeverは週末、一人っきりで寂しいでしょ?と誘
っていただいたので、Leonidasの35㎝スペキュラースを抱えてお邪魔
してきました。

シント・二クラースは、要するに日本でいうところのサンタクロース、夜
中に煙突から不法侵入し、子供たちにプレゼントをばら撒いて去ってい
く不審人物、もとい、優しいおじいさんです。”シント(聖)”という称号が
ついていることからわかるように、こちらのサンタさんは聖人―小アジア                                                                                                                           はMyraという街の司教さま―なので、司教杖にミトラ、長い礼服という格
好をしています。偉い方なので、お供を何人か連れており、ズヴァルト・
ピート(もしくはピーテル)と呼ばれる彼らが、国中の子供たちの名前と素行が記された大判の本や、プレゼントの入ったズダ袋を携行し、煙突を上り下りして贈り物を届けるのです。

IMG_5239-3.jpg   それで、各家庭では何をするのか、というと、基本的に親戚の
   子供たちが一堂に会して、祖父母や伯父伯母からプレゼント
   をもらい、一緒にお菓子を食べて遊んで喧嘩して・・・と、まあ
   要するに、日本のクリスマスとあまり変わらないやり方で、一
   日を過ごすわけです。
   
   うちの大家さんの家では、ご長女一家とご長男一家(なぜか
   長男の方は欠席で、お嫁さんだけが来ていました)が集まり、
それぞれ2人ずつ子供を連れてきていたので、それなりに賑やかでした。
今年はサンタさん役を立てたりはせず、まず最初に、子供たち一人一人に、おばあちゃん(マダム
のことです)から訓示が。もちろん、みんな良い子だったのでプレゼントはもらえるのですが(笑)、
幼稚園でみんなと喧嘩しないように努力すること、とか、野菜嫌いを直すように、とか、それぞれに
大変に教育的なアドヴァイスを頂戴していました。
その後は、しばし、仁義なきプレゼント争奪戦。ちゃんと金額的・数量的に平等になるよう配慮され
てはいるのですがね。服とか絵本、玩具が主です。ffc3d137jpeg

そしてひと段落したところで、コーヒータイム。
食文化に並々ならぬこだわりを持つベルギーのこと、シント・
ニクラースの日にも、特別なお菓子がいくつかあります。
まずは、聖人とお供のピートたちをかたどったスペキュラース
(シナモンなどスパイスを効かせたクッキー)。これはいろいろ
な大きさやデザインがあり、デカいものだと60㎝を超えることも。
そして、いろいろな動物やフルーツの形をしたカラフルなマジ
パン。スーパーなんかでは、成形されたものの隣で、1kgとかの塊のマジパンを売ってたりもするのですが、こちらはそのまま食え、ということなのか、何か別のお菓子に使ったり、家庭で手を加える用なのかよくわかりません。   
あとはクリスマスの定番、シュトーレンですね。ブランデーが効いているせいか、ベルギーのお菓子にしては珍しく、常識的な甘さでした。

ひとしきりおしゃべりして、疲れてきた子供たちが兄弟喧嘩し始めた辺りでお開きに。ベルギーらしい素朴で家庭的な祝祭日でした。

IMG_5161-2.jpg   
  あまりにも美しい朝焼けだったので、窓枠に正座してシャッター
  を切り続けること数分間。裏のおじいちゃんに目撃されてたとし
  たら、何の儀式かと、さぞ訝しがられたことだろう。
 
  ちなみに時刻は9時。遅い日の出とともに、一日が始まります。
 
 IMG_5166-2.jpg


今朝はTervuursevestの信号が止まってしまっていました。
片側2車線だけど、バスなんかも通るかなりデカい交差点なので
なかなか危険な状況です(写真に写っているのは自転車と歩行者
の専用レーンのみ)。にもかかわらず、誘導も交通整理もなく、人
も車も様子をうかがってゆるゆると停止し、なんとなく頃合を見計
らって発進する、というアバウトさ。
それでも無法地帯にならない辺り、さすがです。


IMG_5168-3.jpg  そして、12月の足音を聞いて、そろそろクリ
  スマスめいてきた街では、ウインドウ・ディスプレイやイルミネーションの
  準備が進みつつあります。 
  市庁舎前広場では、kerststal(キリスト生誕のインスタレーション用の家
  畜小屋の模型)の設置が始まっています。今朝は、市立植物園の小型
  トラックが、小屋を飾る枝や干草を運び込んでいました。
  大家のおば様に聞いたところでは、聖家族の展示には人形が用いられ
  るのですが、聖誕を見守る役目のロバは、本物が連れて来られるのだ
  そうです。他の都市では、地元の人たちが聖母や聖ヨセフに扮して演技
  するところもあるとか、ぜひ見に行って来たいと思っています。

 cc557995.jpeg
 Oude Marktの街路樹のイルミネーションも、準備完了。カメラ
 を向けたら、クレーンに乗っていたおじさんに気づかれ、妙に
 大受けしました(一番右端にいる方です)。ピントが若干合って
 ないのが残念ですが。

 クリスマスの先触れのようなシント・ニクラースの日を来週に控
 えて、子供はもちろん、大人たちにとっても、心華やぐ祭りの月
 がすぐそこまでやって来ています。

 

 

 

今週は頑張ってるな~(笑)
試験明け休暇のおかげか。ちなみに、おかげさまで辛うじて無事進級できました。
来週から新しいコースが始まります。

金曜日は、”パプリカの日”です。
例の青果店は、なぜか黄色のパプリカが安くて、キロ0.99ユーロという、日本では
あり得ない値段。店頭に積み上げられた艶やかで肉厚な鮮黄色の山は、黄金の
如くまばゆい光を放ってパプリカ好きを誘惑するのです。
私が一番好きな料理法は、外側が真っ黒に焦げるまで直火で焼いて、皮をむき、
マリネにする方法。IMG_5104-2.jpg
素材自体の甘みが引き出されるので、マリネ液は酢と塩と砂糖
少々だけで十分美味しいし、何より、油脂が大量に含まれない
食品を探すことが困難なこの国で、せめて自炊するときくらいは
ローファットに、と思うのが人情ではないですか。

ただし、この調理法は、焦げ臭さがキッチンに充満するし、見た
目衝撃的だしで、同宿人たちが帰省する週末にしかやらないこ
とにしているのです。
とか言いつつ、先週は、帰ったと思ったシュテファニーが部屋か
ら出てきて、忙しいわ~、昨夜は2時までパーティだったのよ~、今日もまた歌わ
なきゃなんないのに喉痛いわ~、なんて会話を、黒焦げパプリカを挟んで交わす
ハメに。
私のヘンな料理には慣れている彼女は、別に何もいいませんでしたが、いやはや
oeverがパプリカを火炙りにしてイヂメていたなどという目撃談が広まったら、やっ
ぱり東洋人は野蛮だ、という偏見に拍車をかけかねない(笑)。まあ、この手の黒焼
・皮剥調理法は、何も東洋に限ったものではなく、ヨーロッパにももちろん普通にあ
りはしますが。

冗談はさておき。
毎週金曜夜、白熱灯のほの暗い灯りに照らされたキッチンでは、哀れなパプリカたち
の火刑が粛々と執り行われます。IMG_5105-2.jpg
                      IMG_4639-2.jpg表皮が焼けただれる臭い、断末魔の
  呻きのような音をたてて収縮する果
  肉、舞い上がる灰、じわじわと滲み出
  す水分。黒焦げになったところで、さ
  らに水責め、次いで皮剥ぎ、そして仕
  上げに、適当に繊維に沿って裂いた
  可食部を酸に漬けて防腐処理。後は
  一晩寝かせて召し上がれ。

                                                  以上、oeverのゴシックホラー調3分間  IMG_5109-2.jpg        
      クッキングでした☆ 来週は活ムール
  貝の釜茹でをお送りします。お楽しみに。

  しかし、コレをやると何が大変って、”刑場”の後始
  末が面倒だったりするのだ。残骸の処理、飛び散
  った果汁や焦つき汚れの除去、そして換気は特に
  入念に。
  しかも、一連の超法規的秘密処刑の証拠隠滅は、
                                                      潔癖なマダムに見つかる前に、迅速かつ静粛に行
                      われねばならないのでした。
   
                      このスリルがたまらん。
今日は、2週間ぶりにロビンの家にお邪魔して、約束通り、ヘアカラーをしIMG_5083-2.jpg
てもらいました。
私は、髪は黒のストレートだし、服もダークな色を選ぶことが多いので、
老けてみえる、と前々からお小言を頂戴していたのですが、このたび、ロ
ビン姉さんの「oeverを年相応に改造する計画」第一弾として、2X年間
ガンコに守り通してきた黒髪と決別することに相成りました(笑)。
地毛の色が黒っぽいと効果が出にくい、という注意書きの通り、二人とも、
ブラウンのカラーを全体に入れた段階ではほとんど外見に変化なし。じゃ
あ、ということで、ハイライトを強めに入れてもらって、ようやく少し茶色が
かって見えるようになりました。

せっかくだから、次は、髪色に合わせて明るい色の服を選ぼう、ということ
で、ダニエルを迎えに行きがてら、Centrumのお店に連れてってもらいまし
た。
 IMG_5022-2.jpg                     私に白いハーフコートを着せて、あら可愛い、似合うじゃない
  の、とご満悦のロビンは、同じコートの黒の色違いのが気に入
  ったのですが、カードを忘れたために衝動買いできず。
  そしてそれでも、あきらめきれず。
  最後の1着だったので、とりあえず、明朝買いに来るから絶対
  キープしといて!と店のおねえさんにお願いしていました。
  給料日前の節約の決意も、オシャレに対する全女性共通の
  執念の前には脆かった・・・。
  結局買ったのか、やめたのか、どっちだろう。

ダニエルの幼稚園はかなり大きくて、いろんな年齢の子供でごった返していました。授業で作った
らしい紙の箱を取り合ってふざけ回る子供たちや、それを列に並ばせようとして手を焼く先生たち
など、日本と全く変わらない風景です。
今日は大分早く、授業が終わる前に到着したので、ダニエル君からお褒めの言葉が(笑) 
ロビンは仕事の都合上、時間通りに迎えに行けることはむしろ稀なくらいなので、待たされていた
ダニエルに、ママ遅いよ~、と半泣きされることもしばしばなのだとか。
子育てとは、全く、本当に、つくづく大変なものですな。IMG_5028-2.jpg

IMG_5023-2.jpg そして、ロビンの苦労を他所に、伸び伸
 びと育っているダニエルが注視している
 先に、何があるのかといえば、ルーヴァ
 ン4大パブリックアートのひとつにして最
 も刺激的(笑)な、De Fiere Margriet 
 (《誇り高きマルフリート》) の噴水だった
 りするのでした。

 やっぱ気になるか。
 今のうちに、しっかり観察しておきたまい(笑) 
 

IMG_4789-2.jpg いつもの八百屋さんで、里芋そっくりの根菜を見つけました。
 果たして、日本のものと同じなのか?
 試しに煮てみました。IMG_4944-2.jpg
 
 
    どうも違うようだ。
    粘りがない。
    サラッとしている。
    微妙に黄色い。

IMG_4954-2.jpg

    やっぱり違った。とりあえず芋ではあるらしい。
    だが里芋ではナイ。
    見た目、ジャガイモに近い。
 
    そして甘い。妙に糖度が高い。
    サツマイモ的な甘さ。

    レシートを見てみたら、aardpeer(”大地の洋梨”)となっていた。        
    aardappel(”大地のリンゴ”)=ジャガイモ 
    ならば、
    ”大地の洋梨”=???

調べてみたら、英名イェルサレム・アーティチョーク、学名 Helianthus tuberosus というキク科ヒマワリ属の植物の根っこであることが判明。1374961323_4e39140c97.jpg
通常のイモ類のようなデンプンではなく、イヌリンという糖類が主
成分で、食用にする他、果糖の原料にもなるんだそうだ。
日本では菊芋と呼ばれていて、江戸時代から飼料用に栽培され
ていたとか。ヒマワリ属だけあって、こんなキレイな花が咲きます→
(画像は、Flickr掲載のmayfly jpnさんの写真をお借りしています
       www.flickr.com/photos/mayflyjpn/1374961323) 

ちなみに長野県下伊那郡には、菊芋で村おこしを図っている地域
があるそうな↓。

泰阜村HP : www.vill.yasuoka.nagano.jp/kankou/kikuimo/kikuimo.htm

栽培マニュアルとか、レシピ本の紹介とか、盛りだくさんです。毎年恒例の”菊芋収穫祭”は、先週終わってしまったようですが。

結論として、aardpeerは決して不味くはないです。
ただ、異国の空のもと、里芋の煮っ転がしを夢見て1.5kgを買いこんだ身としては、若干のヤラレタ感が(笑)
残り半分は、菊芋専門店「きくいもハウス」の店長さんのオススメを参考に、サラダにでもするか・・・。

              IMG_4805-2.jpg  美術史仲間と二人で、3年ぶりにアントウェルペン王立美術館を訪ねまし
  た。南駅のホームを埋め尽くす落書にすら、アカデミックなデッサン訓練
  の痕がうかがえる芸術の街、アントウェルペン。 
  デイリーストアの看板さえ、その前衛的な感性によってオリジナリティを
  主張しています。
IMG_4803-2.jpg  →クリックして、拡大写真で中央の赤い
   蓋の瓶のラベルをご覧下さい。

  「朝の梅干は、冷たいシャワーのごとく」

  ・・・うーむ。言わんとすることは何となく
      わかるが(笑)。

そして王立美術館。折しも現代美術館開館20周年記念の共催
企画展をやっており、荘厳な大理石の階段の踊り場には、パリ在住の中国人アーティストDu Wang
が制作した爆乳スフィンクスが、来館者を阻むかのように鎮座しております。もっとちゃんと見たい
人は、現代美術館のHPwww.muhka.be/image_detail.php へgo。5c8ff8bd.jpeg


相変わらずここの目玉は、長辺4m超えの大画面をこれでもかとばかり
に陳列した”リュベンス部屋”なのですが、以前ほどの威圧感が感じられ
なかったのは、ここ1ヶ月で17世紀美術に対する免疫力が上がったから
でしょうか。
それにしても、16世紀~マニエリスム期の展示室で、イタリア・ルネサン
スの重圧に対する苦闘の跡を目の当たりにしてから、17世紀の部屋に
移ると、その苦闘が一転して、いとも軽やかに克服されてしまっていること
に一抹のもの悲しさすら感じます。もっとも、
                     境界に位置するものというのは、常に
IMG_4863-2.jpg 定義しにくく中途半端に見えますが、 実はそこに重要な変化や
 発展の萌芽があるわけで、その点では今でも、17世紀の明快さ
 よりも、16世紀後半の捉えどころのなさ複雑さのほうに惹かれる
 自分がいます。
  
 修復室では、依然としてメムリンクの《奏楽天使》の修復が続いて
 いました。全く作業が進んでいないように見えても、洗浄後の彩度
 の高い部分は、3年前よりも確実に増えているのでしょう。今日は
実際の作業が見学できなかったので、次の開放日にまた行ってみることにします。

4時間ほど費やして、さすがに燃料が切れてきたので、近くのトルコ料理IMG_4910-2.jpg
店でお昼。
べイクド・ポテト専門という、ちょっと変わったお店でしたが、トルコ人経営
のレストランの常で、安くてヴォリュームがあって美味しくて、アタリでした。
ホワイトソースやチーズをベースに、肉や野菜を合わせたソースをかけ
て焼いたジャガイモが出てくるのですが、なにせ、イモ自体が化けもん
みたいにデカいのです。楕円形の長い方の径が20㎝以上ある。いったい
どんな遺伝子組み換えの成果だ(笑)。 

マイヤー・ファン・デン・ベルフも回る予定だったのですが、やはりというか
何と言うか、道に迷いまして・・・(^ ^;) こちらも持ち越しです。

アントウェルペンは、洗練されたいい街です。特に、フランドル美術史をやっている者には、立派
な美術館、情報の宝庫の古文書館、世界屈指の研究所・・・と、本当に至れり尽くせりの環境が
整っています。
でもやはり、住む街ではなく、頻繁に訪れる街、という距離感がちょうどいいように思う。私には、
ルーヴァンの地味さ・小ぢんまり感・垢抜けなさが合っているのでしょう。

めっきり冷え込んできたと思ったら、今朝は霜が降りていました。IMG_4795-2.jpg
例年、ベルギー内陸部では10月、早いときは9月に霜が見られる
そうで、これが初霜というわけではないのでしょうが。芝生や外階
段の手すりから、シュテファニーのミニバンのワイパーまで、戸外
にあるものは、もれなく白い細氷の縁取りを纏って、ピキーンと固
まってしまっておりました。
そんなわけで、タイトルは「ソウコウ」と読んでやっていただけると
ありがたいです。・・・別に「シモフリ」でもいいんだけどね。

金曜日はconversationの日。試験明けだろうが、このクラスだけは
休む気がしないのです。道で出会ったクラスメートが、アントウェルペンに行くんだと浮かれているのを侘しく見送って、不景気に授業に向かいます。

今日は、産休直前のアナミーに代わって、代理講師のイザベラが担当でした。
まずは、吹きだしをブランクにした漫画にセリフを当てるという、難しい上にあんまり実戦向きじゃない課題からスタート。次に、”Shopaholic?(買物依存症?)”というお題で、買い物に関連した所与のキーワードを使って疑問文を作って、パートナーに質問する課題。例えば、”omdat ik wil iets(何かが欲しいから)”と”omdat ik iets nodig heb(何かが必要だから)”というキーワードなら、”Ga je naar winkelen omdat je iets wil, of omdat je iets nodig hebt? ”など。

IMG_4770.JPG 最後は、”Dilemma!”というディスカッション形式の課題で、これがやたら
 盛り上がりました。要するに、ジレンマに陥るようなシチュエーションと、そ
 れに対してどう反応するか3つの選択肢が与えられ、ひとつの選択肢を選
 んでその理由の正当性を主張し、さらに自分のパートナーがどの選択肢
 を選ぶかを予想して、それに応じた質問をする、というもの。
 用意されているシチュエーションが、どれも反応に困るような微妙なもの
 ばかりなので、議論以前に、ひとつの選択肢に絞るのが難しい。
 例えば、
 「一緒にショッピングに出かけた友人が、露出度高めのドレスを買おうとし
  た。彼女はダイエットの末に、10kgの減量に成功したばかりだけど、そ
  れでもそのドレスを着こなすには、まだ太りすぎている。あなたは彼女
に忠告してあげる?それとも放っておく?」  とか、
「結婚したばかりの親友の奥さんが、別の知らない男性と買い物に来ていて、一緒に試着室に入るのを目撃してしまった。あなたは親友に告げ口するか、それとも何も言わないか?」とか。

「あなたは、冬用のコートを買うようにと母親からお金をもらって店に行ったが、気に入ったのが見つからなかった。その代わり、キレイなショール(もしくはセンスの良いマフラー)を見つけてしまった。あなたは、気に入らないコートを買うか、コートを買わずにショール(もしくはマフラー)を買うか、それとも何も買わないか?」という問題では、女性陣(といっても私ともう一人のワロン人の二人)は一も二もなくショールに流れたのに対し、男性陣(こちらも二人しかいない)は何も買わないという結論になったのが印象的でした。

この問題では、ショールを買うことを選択した女性陣へのおまけとして、帰宅後、母親を納得させる、という課題が与えられました。気難しいママに扮したイザベラに、”なんでコート買わなかったのよ?”と怒られ、”だっていいのなかったんだもん。また明日、別の店に見に行くから” と言うと、”明日は日曜で店は休みじゃないの! 月曜には大寒波が押し寄せるってニュースで言ってるのに、ショールだけでどうするつもり?”。 ”古いコートで我慢するわ”と言えば、”古いのは擦り切れてて着られないでしょ”と返され、”ごめん、月曜日だけママのコート貸してもらえない?”と言うと、”ママも1着しか持ってないんだからダメよ!”と(笑)。延々苦しい言い訳を試みて、月曜日にペーテル(誰だ?)に車出してもらって、アントウェルペンの冬物セールに行って買ってくる、ということで許してもらいました。

他の国の語学学校には行ったことがないので知りませんが、ベルギーの語学学校の教え方でいつも感心させられるのは、遊びながら知的好奇心を喚起させるのが大変に上手いことです。”楽しみつつ学ぶ”ことのセンスが非常に発達している。彼らの文化のひとつの特色をなしている「笑い」に対する独特の感覚――自分を含めたすべてを冷静に観察し、何かしら笑いの種を見つけては豪快に笑い飛ばす、現実的でバランス感覚に優れた諧謔性への嗜好――は、こんなところにも活きているように感じます。

 はい、ブログ開始後1週間経ちました。褒めて褒めて~(笑)

・・・などという戯言はさておき、シャワーは木曜日に復活しました。ついでに、さんざんな てすと の結果も木曜日に返ってきましたとさ。

昨日は、手作り”包子(パオツー)もどき”をお土産に、ロビンの家へ。
毎回思うことだけど、粉物って、なんであんなに肥大するんですかね。どんなに頑張って生地を薄く伸ばしても、出来上がったときには3倍くらいの分厚さになってるし。前にファルファッレ(蝶型のパスタのことです)を手打ちしたときには、成形時のシジミチョウが、茹で上がったときには蛾(ほとんどモスラ)に化けてて、さすがに怖かった。・・・って、アラ、私だけですか?

  左:発酵中の”包子もどき”の皮
  中:包むの失敗しました
  右:白髪ネギでごまかしてみるIMG_4759-2.jpg

IMG_4742-2.jpg  IMG_4753-2.jpg 


郊外のロビンの家までは、バスを乗り換えて20分。暗くなってきて、バス停の名前が見えないので、目的地に着いたら教えてくれるように運転手に頼んだら、そんな停留所は知らんね、とにべもない。勝手に嫌がらせしてろこのマダラ呆けが。窓の外の暗がりに目を凝らして自力でバス停を発見して、小雨の中、ロビンの家に着くと、遅かったじゃないの~!と出迎えてくれましたが、
   オイ、行くの夜になるって、ケータイにSMS送っといたやんけ。
案の定、彼女はメールをチェックしていませんでした。いやはや、変わってないのう(笑)。仕事と子育てで毎日忙しいから、しょうがないんだけどね。
夕飯をご馳走になって、ダニエル相手にオランダ語会話の練習をして、一晩泊めてもらって、今朝は一緒に教会に行って帰ってきました。

IMG_4761-2.jpg  それにしても。
  他のヨーロッパ諸国と同様、ベルギーでも、外国人に対する風
  当たりは年々強くなってきています。
  法律の改正が相次ぎ、在留資格を得るための条件も厳しくなっ
  ていて、ロビンも相当苦労していると言っていました。長期滞在
  するためには、仕事を得なくてはならないのですが、安定した職
  を得るためには職業訓練が必要で、そのためには長期滞在して
  訓練を受けなくてはならない――という堂々巡り。どこの国でも
                     多少なりとも同じ事態が生じているのかもしれませんが、なまじ
この国が、歴史的背景に基づく開放性・柔軟性を売りにしているだけに、その実情とのギャップがことさら大きく感じられるのです。同様の閉鎖的姿勢は、留学生の大学の授業料に関して、EU諸国出身者と非EU諸国出身者とで10倍もの差が設けられていることなどにも表われています。

さて、では試験勉強を再開しますか。
外国人をめぐる現状に不満を並べるのは、せめて、もうちょっとマトモに現地の人と議論できるレベルのオランダ語を身につけてからにしましょう。 ○○が納得いかーん!とか息巻いたところで、Waarom(なんで)?と突っ込まれたとたんに、Omdat(だって)・・・Omdat・・・#△×◆・・・!~~!
C~ {@ @ }~3(憤死)   じゃ話にならないですから。

だから。
そういうわけで、
私は急ぐのです。
”来年” あるかどうかわからないから、というだけでなく、中途半端が嫌いだから。
この国にいる以上は、いい面も悪い面もひっくるめて、この国のことを理解したい。そのためには、それなりの努力をするのが筋だと思うのです。そして、そのためには、良きにつけ悪しきにつけ、”外国人だから”という特別扱いを甘受しているべきではないでしょう。自分が外国人である限り、いつまでたっても特別視されるのは避けられないとしても、だからといって努力を怠る理由にはならないはずです。

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(中島みゆき「本日、未熟者。」)
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