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ビールとにわか雨と言語境界線の国で、 美術と歴史の迷宮を彷徨中の 留学生活の覚書
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早いもので、あと2週間で新学期です。
更新がない代わりに、過去の覚書の抜粋を載せてみます。
前の学期始めに何を考えていたかについて。


 2009/02/09
  今日から新学期。
  ようやく風邪が一段落した途端に、今週は何だか知らんがゴチャゴチャと慌ただしい。
  まずは今日、語学学校の登録と、できれば保険契約に行き、午後には、顔を見たいわけも
 ない前大家のところに行って郵便物(ユースホステル協会からの封書)を受け取り、その足
 で夕方のオランダ語コースに登録する。
  明日火曜日は、朝、おそらく荷物が届くのを受け取り次第、日本学の授業へ。その間に図
 書館で用事を済ませ、夕方にはHuldenbergの知人宅へ。
  水曜日は美術館学の授業と、語学学校。
  ようやく夕方まで空き時間ができる木曜は、来週の月曜日の教授との面談の準備を全速
 力で整える。そして17時から語学学校。
  金曜日は、アジア大の学生が大学を訪問するそうなので、世話役をしている神父様のお
 手伝いとして顔を出すことになっている。
  そして土曜日、一週間持ち越しのWillem氏との王立美術館訪問。
  ・・・日曜日というのは正しく安息日だと、こんなにも実感したことはない。
 
ともかくも、今日、月曜日。
  朝10時5分前に語学学校の登録に行くと、すでに長蛇の列ができている。いつものBie女
 史に加えて、非常にぶっきらぼうなおばさんの二人体制で受付をしている。
  おばさんのほうの列に並んで、レベル4のレギュラーコースに、というと、PCでチェックし
 て、アンタ、もう登録してんじゃん?・・・ああ、なるほど、もう一回やり直すんだね、と言わ
 れる。ハイ、そのとおりですがソレガ何カ?(笑)
  そんでもって、いつもは細かいことは自分で確認しろ、とばかりに放ったらかされるので、
 今回もそうだろうと思い、クラスについて質問しようと、En, …と言いかけたら、向こうが心
 得たとばかり、ああ、今日は17時から19時、教室は01.122だよ、おやおやこの教室は定
 員20人だね、気の毒に、こりゃスシ詰めだワ、とひょいと肩をすくめて見せる。ぶっきらぼ
 うなふうに見えても、別に怒っているわけでも何でもない、普通に饒舌だ。ベルギー人の
 表情はまだまだ読みにくい。が、こういう愛嬌の現れ方は嫌いじゃない。
  そのとき、おばさんの手元のリストに書かれていた講師の名前がチラッと見え、あれっ、
 Kittyのクラス?と尋ねると、そうらしいね、との答え。やった!またキティの下で勉強でき
 るのはうれしい。今期もEvellinだったらどうしようかと思っていたところだ。これまで6期間、
 ILTに通い続けてきたわけだが、やっぱり講師との相性って大事だと感じる。合わない先生
 だと最後までしんどい。お互いがお互いを好きじゃないのは嫌でも表に出るし。とはいえ、
 一番肝心なのは自分の努力とモチベーションであることには変わりないけれど。
 
  登録を済ませた足で、保険契約の相談を受け付けているSocial Dienstに向かうと、オ
 フィスは閉まっていて、今日の受付時間は14時からだいう臨時連絡の貼り紙が。別にい
 いけど、ここは毎日、こんなふうに当日になってからその日の開室予定を貼り出すのか?
 今日はどっちにしろムリだから、明日出直すことになるだろうが、明日も14時開室とは限
 らない。不便だな。
  しかたがないので、その足でまた、Fochpleinまで出て、前の下宿を訪ねるために、久々
 にGasthuisberg行きの370番のバスに乗る。懐かしい風景。最寄のHerestraatのバス停
 付近は、相変わらず大規模な住宅群の新築工事が続行中で駐車場もできたりしているも
 のの、やっぱりあまり変わらない。
  11時ちょっと前くらいに旧下宿先に着いてインターフォンを鳴らすと、前大家の夫人のほう
 が出てきた。相変わらずハチミツの甘さ的なものを感じる、とろけるような笑顔。あー…基
 本的に悪い人ではないとは思う。でも、やはり絶対的に“合わない”。郵便物を渡してもら
 い、上がっていける?と聞かれて、いや、11時半に面会予定がありますので、と辞退する。
 それでなくても授業の準備をせねばならないし、長居したくないっつーか、端的に言って
 サッサと帰りたい。そこを引きとめられて、つい先日、アフリカにいる娘が送ってきたという
 6か月の孫の写真を見せられる。
  その後も、今やっている布教活動のこととか、近所のまだ30代半ばの若い父親が自殺し
 たとか、今はみんなが希望をなくしている、それを救うのは信仰しかない、とか、若干目を潤
 ませつつ、、、うーむ。。。こういう世界、別に、あるレベルまでは無害っちゃ無害だし、個人の
 自由ではあるんだが、途方もなくむず痒くて、全速力で回れ右して逃げ出したい私がいる。
 どっちにしても深入りしたくない。いや、半歩踏み入れるのさえも御免こうむりたい。本能的
 な部分で、何かが狂っているのを感じる。※
  帰りがけに、階段に積んであった聖ニコラス祭のプレゼントの山を見せられ、来週、孫たち
 を集めて祝うのだと解説しつつ、あなたへの新年のプレゼント、と、HEMAで売っているワッ
   フルの小袋を持たされる。ええと、ありがとうゴザイマス…。明日、知人宅に持ってくか。
  そして、娘が5月に開くというモノローグのイベントの案内をもらって(je vriendje(あなたの
 彼氏)にも、と2枚。誰に渡すべきなんだろうかこの場合。もういい加減、私自身にもわから
 なくなっている)、ちょうど帰ってきたらしい夫のほうにも挨拶して、ようやく辞去。ああ、ひと
 つ用事が片付いた。
  帰ってきてから確認したら、ユースホステル協会からの封書は、会員証の期限切れが間
 近なことを知らせる手紙と、継続用の申込用紙が入っていた。そっちで処分してください、な
 どと切り口上で言わなくてよかった。・・・って、年会費15ユーロ?値上がりしてんじゃねー
 か。
  家に戻って、飽きもせずにVRTのインターネットTVを中心にリスニングの強化を図る。つい
 でに少々、語彙の復習なんかをやってみて、さて、いざ出陣。オランダ語の時間ですヨ。
 
  語学学校のホールで、前のクラスメートのノーナにばったり会う。アゼルバイジャンから来
 ていた中年の女性で、もと小学校の先生をしていたという、笑顔が暖かい感じの、愛想の良
 い人。何度か話したことがある程度だが、前のクラスの中では親しかった部類に入る。思い
 返せば、ろくな人間関係築けてないな、この前は。彼女は試験に受かって、今日からレベル
 5だという。おめでとう。この人は以前、2年前に、わずか5点足りないだけでレベル4を級落
 ちしたと聞いていたので、心からよかったな、と思う。本当に、いろいろな生徒がいる。続ける
 人、やめる人、続けたいのに続けられない人、続けても伸びない人、不真面目にやっている
 ようでもなぜか異常に上達が早い人、そして、わずか5点で落ち、その後ブランクを空けなが
 らも復帰してディプロマを獲得する人。
  教室前の廊下でたむろっていたら、見たことのある顔ぶれがちらほら。やたら元気なトル
 コ人の小太りの学生(コイツの名前、何度か聞いたはずだが、何度聞いても右耳から左耳
 に抜ける。たぶんあんまり好印象が持てないからだろう)や、エクアドルから来ているメルセ
 デス、そして”例の”アフリカ人のドクター学生。おや、2度目の試験落ちは、やっぱり
 discriminatieのせいですかね?
  隣にアジア人の女の子が来たので、少し話す。中国学学科の1年生をやっているという中
 国人。時間が来て登場した先生は男性だったので、キティとコンビネーションを組むもう一
 人の講師なのだろう。最近、ILTはこの講師2人制のパターンが多くなってきた。まあ、フレ
 キシブルで融通が利くが、反面、先生と生徒の関係が希薄になることは否めない。
  席について、よくよく見れば、講師の男性は、レベル1・2の教科書の付属のVTR教材でパ
 オロという学生の役、レベル3の教科書のではアントンというアーティストの役で出演してい
 た役者さんだった。なんだか妙な気持ちで、なんだか可笑しい。予想よりだいぶビシっとした
 感じで、テキパキと早口で話す人。画面で見ていたときはもっと背の高い人だと思っていた
 が、実物を見ると、痩せてそんなに背も高くなくて、ずいぶんと小柄に映る。
  最初の授業は、ILT名物、会話コースでもやったleugen maken(ウソをつくこと)、すなわ
 ち自己紹介の文を最低5つ考えて、その中にひとつだけ嘘を混ぜろ、というやつ。聞いている
 他の学生が、どの部分が嘘だったのか当てる、というものだ。
  来た来た来た~、という感じだ。何も準備していなかったので、さて、どうしようかな、と思い
 つつ、あ、そうか、キティネタで行けばいいや、と思いつく。
  講師のリストに載っている事前登録者から順に自己紹介していく。いろいろな受講者がい
 る。アフリカから来たタチヤーナはもと看護士で、来年には大学で薬学の勉強を始めたい、
 と。ロシアから来ている上品なおばさまはヴィクトリア、フランス出身だけどその割に垢ぬけ
 た取り澄ました感じがなくて、でも何カ国語にも精通していて日本語と韓国語も少し話せる
 という女性(確かブロンディーヌという名前だったと思う)、例のトルコ人学生がGroep-Tで
 勉強していることとか、メルセデスが若く見えるが実は30歳だったこととか、ワロニエから
 来ている背の高い、いかにもワロン人的な顔立ちをしているアリーンはピアノが弾けること
 とか、アンセルムという名のドイツから来ている男性が一人いる(この人は、自己紹介で
 「ベルギーのドイツ語圏の都市オイペンから来た」という嘘をついていた)とか、いろいろ面
 白い。先生もうまく追加情報を引き出すような質問を投げかけ、受講者たちのツッコミも
 けっこう激しくて、いい雰囲気。このクラス、前より格段に居心地がいいかもしれない。
  前のクラスでも一緒だったジェニファーという恰幅が良くて気風も良い女性がいるのだ
 が、彼女はさすがに場慣れしているというか、ユーモアのセンスが鋭くておもしろかった。
 名前と家族構成を紹介し、以前マダガスカルに住んでいて、今はブリュッセルで働いて
 いて、と4つの情報を出した後で、Ik kom uit Canada, en ik heb er hekel aan dat
 mensen denken en zeggen dat ik van Amerika kom, (私はカナダ出身で、ついでに、
   みんなが私のことをアメリカ人だと決めてかかるのにうんざりしている)と言って笑いをと
   り、さあ、どれが嘘でしょう、という段になって、例のトルコ人学生が "Je komt toch van
   Vereiniging Staat!”(アンタ、でもアメリカ人じゃん!)と言い、それに対してジェニファー
   が”Maar ben je erover zeker dat ik van Amerika kom!?”(確信があンのかい?)と切
   り返して、大爆笑になっていた。こういうセンス、裏の裏をかくユーモアセンスというのは、
   非常に学ぶべきものだと思う。日本の笑いとは根本的に違うものを持っている。
  そして、リストに載っていない当日登録者の自己紹介になって、私に番が回ってきたとき
 に、適当に名前とか出身地を言って、Ik studeer aan de KUL, mijn specialiteit is
   kunstgeschiedenis,  eigenlijk onderzoek ik over een portretschilder die in Leuven
 geboren is, maar hij werkte in Keulen in Duitsland, (KULで美術史を学んでいて、実
 はルーヴェン出身の、ドイツで活動していた肖像画家について研究している)という。なん
 ていう画家なのかと尋ねられて、画家の名前を言い、maar deze is misschien zijn
 familienaam, en niemand kent zijn voornaam (でもたぶんコレは苗字で、下の名前は
 わかっていない)、と付け加える。誰も知らない画家だって?でも君は知ってるんだ?と、
 オモシロがられる。
  イヤ、そりゃ言葉通りにとれば矛盾した話だが、だって17世紀だモンよ。そういう画家が山
 ほどいるんだもんよ。でも、ちょうど隣にアンセルムが座っていたことだし、いい布石には
 なった。いずれ、ドイツ語絡みで聞きたいことや、会話の練習のお願いなんかができる機会
 が巡ってくるかもしれない。それで、最後にIk heb al vijf keer aan de klas van Kitty
 bijgewond, (過去に5期間、キティの担当クラスに当たったことがある)といって、自己紹介
 終わり。さて、どれが嘘でしょう?みんながあれこれワイワイ憶測を述べる中で、ジェニファ
 ーが、5回っていうのが嘘じゃない?と当てる。その通り、でも、4回はキティのクラスになっ
 たことがある、というとびっくりされる。確かに異常に多いな。なんか縁があるんだと思って
 おこう。
 先生に名前のスペルを聞かれ、Kawa××のWの発音でちょっと手こずり(私は気をつけ
 ていないと、すぐにWがVと同じ濁音になる)、日本語が多少わかるブロンディーヌがK-a-w-
 aよね、と助け舟を出したり、トルコ人が「カワサキ!」(こっちでも日本のバイクが有名らし
 い)と意味不明なまぜっかえしをして笑いを誘ったり、そこでちょうど時間が来て、休憩。休
 憩の間に、もう一人の日本人クラスメートの女性と話す。Kessel-Loに住んでいて、パート
 ナーとは英語で話すことが多いので、なかなかしゃべるのが上達しないと言っていた。まだ
 こちらに来て1年半くらいで、神父様のことはルーヴェン会で会ったのでかすかに知ってい
 るという程度だという。それほど日本人会との付き合いも深くなさそうで、こういう人、今の
 私にとってはなかなかいい位置かもしれない。いろんな意味で、さっぱりした付き合いが
 できたら何よりだと思う。
  2時間目は新しい教室に移り、早速、テキストの最初のspreekoefening(会話練習)を。
 19時ちょうどに終業し、小雨の中を、途中まで日本人のクラスメートと歩き、バス停で別れ
 て帰る。
滑り出しはまずまず順調だった。こうやって、少しずつ取り戻していけばいい。自分が自分
 でいられた時期の感覚、他人に対して常に自分を鎧う習慣を必要としなかった時期の感覚
 を。そして、新しく積み重ねていけばいい。前に進む力を取り戻した喜びを、成果として形に
 残すために。
 
 ※前の大家夫妻とのいろいろ斯く斯くしかじか喧々囂々の確執については、ブログでは
  全く触れてきませんでしたが、まあ、幾度かの不愉快なやり取りの末、彼らの考え方
  にどうしてもついていけないと感じざるを得ませんでしたので、こういう結論に至った次
  第です。隣人愛を何より貴いものとし、信仰篤いことを誇りにしている人が、他方では
  日本人下宿生にのみ”税金”という名目で法外な家賃を請求したり、加えてどうせバレ
  ないだろうとタカをくくって可能な限り設備の質を低下させて出費を抑えようとしたりす
  る、それが実情です。そういうことです。  
  私としては、”自分が(基本的に)善意の人である”ということを最強の盾に、す
  べてがそれで許される(それどころか、自分の気が向いたときだけ、他人の世
  話を焼くそぶりをし、その”善意”を向けられた相手には、全く有り難くなかろう
  が迷惑だろうが、それを汲み取り理解し感謝して受け容れる義務がある)と思
  っている人とは、どこまでいっても根本的に相容れることができないと思うまで
  です。



【連絡】
 明日から数日、ヴェネツィアに行って参ります。ちょうどビエンナーレが開催されており
ますので。
 とりあえず、袋小路と運河の無限迷路で遭難しなければ、そしてユー〇ラインズに次い
でライ〇ンエアでも要らんジンクスを作る事態に陥らなければ、週末には戻ってきて報告
でもアップします。
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ILT!
初めまして。
ベルギーのブログを検索してここに辿り着きました。
私もベルギー在住で、2008年9月から2009年3月末までILT通ってました。
Niveau3-5まで修了して今は普通の主婦してます。
エヴェリンとかキティとか、習った先生の名前を見て懐かしくなってついコメント入れたくなりました☆
クラスメートのケッセローに住んでる人、
多分私のお友達です。
Niveau3の時インテンシィブのクラスで一緒だったんですよ。
最近はほとんど連絡取り合ってないですけどねー。
私も日本人会とかとは全く関わってないし、かんなりヒッソリコッソリ暮らしてますw

ご自分の学業と語学の勉強の両立、大変だと思いますが頑張ってくださいねー。
あや 2010/04/14(Wed)05:49:03 編集
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学生
自己紹介:
あがいて もがいて 一日が往く
喚いて ほざいて 一日が往く
逆らい 歯向かい 一日が往く
当たって 砕けて 一日が往く
(中島みゆき「本日、未熟者。」)
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