めっきり冷え込んできたと思ったら、今朝は霜が降りていました。
例年、ベルギー内陸部では10月、早いときは9月に霜が見られる
そうで、これが初霜というわけではないのでしょうが。芝生や外階
段の手すりから、シュテファニーのミニバンのワイパーまで、戸外
にあるものは、もれなく白い細氷の縁取りを纏って、ピキーンと固
まってしまっておりました。
そんなわけで、タイトルは「ソウコウ」と読んでやっていただけると
ありがたいです。・・・別に「シモフリ」でもいいんだけどね。
金曜日はconversationの日。試験明けだろうが、このクラスだけは
休む気がしないのです。道で出会ったクラスメートが、アントウェルペンに行くんだと浮かれているのを侘しく見送って、不景気に授業に向かいます。
今日は、産休直前のアナミーに代わって、代理講師のイザベラが担当でした。
まずは、吹きだしをブランクにした漫画にセリフを当てるという、難しい上にあんまり実戦向きじゃない課題からスタート。次に、”Shopaholic?(買物依存症?)”というお題で、買い物に関連した所与のキーワードを使って疑問文を作って、パートナーに質問する課題。例えば、”omdat ik wil iets(何かが欲しいから)”と”omdat ik iets nodig heb(何かが必要だから)”というキーワードなら、”Ga je naar winkelen omdat je iets wil, of omdat je iets nodig hebt? ”など。
最後は、”Dilemma!”というディスカッション形式の課題で、これがやたら
盛り上がりました。要するに、ジレンマに陥るようなシチュエーションと、そ
れに対してどう反応するか3つの選択肢が与えられ、ひとつの選択肢を選
んでその理由の正当性を主張し、さらに自分のパートナーがどの選択肢
を選ぶかを予想して、それに応じた質問をする、というもの。
用意されているシチュエーションが、どれも反応に困るような微妙なもの
ばかりなので、議論以前に、ひとつの選択肢に絞るのが難しい。
例えば、
「一緒にショッピングに出かけた友人が、露出度高めのドレスを買おうとし
た。彼女はダイエットの末に、10kgの減量に成功したばかりだけど、そ
れでもそのドレスを着こなすには、まだ太りすぎている。あなたは彼女
に忠告してあげる?それとも放っておく?」 とか、
「結婚したばかりの親友の奥さんが、別の知らない男性と買い物に来ていて、一緒に試着室に入るのを目撃してしまった。あなたは親友に告げ口するか、それとも何も言わないか?」とか。
「あなたは、冬用のコートを買うようにと母親からお金をもらって店に行ったが、気に入ったのが見つからなかった。その代わり、キレイなショール(もしくはセンスの良いマフラー)を見つけてしまった。あなたは、気に入らないコートを買うか、コートを買わずにショール(もしくはマフラー)を買うか、それとも何も買わないか?」という問題では、女性陣(といっても私ともう一人のワロン人の二人)は一も二もなくショールに流れたのに対し、男性陣(こちらも二人しかいない)は何も買わないという結論になったのが印象的でした。
この問題では、ショールを買うことを選択した女性陣へのおまけとして、帰宅後、母親を納得させる、という課題が与えられました。気難しいママに扮したイザベラに、”なんでコート買わなかったのよ?”と怒られ、”だっていいのなかったんだもん。また明日、別の店に見に行くから” と言うと、”明日は日曜で店は休みじゃないの! 月曜には大寒波が押し寄せるってニュースで言ってるのに、ショールだけでどうするつもり?”。 ”古いコートで我慢するわ”と言えば、”古いのは擦り切れてて着られないでしょ”と返され、”ごめん、月曜日だけママのコート貸してもらえない?”と言うと、”ママも1着しか持ってないんだからダメよ!”と(笑)。延々苦しい言い訳を試みて、月曜日にペーテル(誰だ?)に車出してもらって、アントウェルペンの冬物セールに行って買ってくる、ということで許してもらいました。
他の国の語学学校には行ったことがないので知りませんが、ベルギーの語学学校の教え方でいつも感心させられるのは、遊びながら知的好奇心を喚起させるのが大変に上手いことです。”楽しみつつ学ぶ”ことのセンスが非常に発達している。彼らの文化のひとつの特色をなしている「笑い」に対する独特の感覚――自分を含めたすべてを冷静に観察し、何かしら笑いの種を見つけては豪快に笑い飛ばす、現実的でバランス感覚に優れた諧謔性への嗜好――は、こんなところにも活きているように感じます。